個人事業者等を含む安全衛生保護の拡大をどう読むか

個人事業者、一人親方、フリーランス、役員などが労働者と同じ現場で作業する場合に、安全衛生上何を見直すべきかを整理します。

労働安全衛生法は、長く「労働者」を中心に組み立てられてきました。しかし、建設現場、物流倉庫、工場、設備保全、配送、清掃、IT・撮影・イベント現場などでは、会社の労働者と、個人事業者・一人親方・フリーランス・役員が同じ場所で作業することがあります。安全衛生保護の拡大は、この現実に制度を近づける動きです。

厚生労働省によると、令和7年法律第33号は、労働者と同じ場所で働く個人事業者等を労働安全衛生法による保護の対象及び義務の主体。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」)”として位置づけるものです。ここで大切なのは、「すべての個人事業者に、会社員と同じ産業保健制度がそのまま及ぶ」と読むのではなく、作業場所、危険源、注文関係、本人自身の措置を分けて読むことです。

出発点は労働者中心の安衛法

まず、労働安全衛生法の本来の目的を確認します。安衛法は、労働者の安全と健康を確保する法律として設計されています。そのうえで、同じ場所で働く個人事業者等も災害原因になり得る、また本人も災害に遭い得るという現実から、保護と義務の範囲が広がっています。

労働安全衛生法第1条によると、この法律は、この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第1条)”することを目的としています。今回の拡大は、この目的を捨てるものではなく、労働者の安全確保に関係する現場の作業従事者を広く見なければならない、という方向の見直しです。

厚生労働省によると、令和3年5月の建設アスベスト訴訟最高裁判決では、安衛法第22条について、労働者と同じ場所で働く労働者以外の者も保護する趣旨。(出典:厚生労働省「個人事業者等の安全衛生対策について」)”であるとしています。この流れが、2023年以降の省令改正と2025年公布の法改正につながっています。

さんぽ先生
さんぽ先生

フリーランスや、フードデリバリーサービスのようなギグワーカー、就労高齢者や共働き子育て世代などの増加を背景に、多様な働き方が推進されていますが、安衛法もそれに伴い改正がすすんでいます。

建設現場の一人親方などにおいて、指揮命令性があったとしても労働者保護の対象外になってしまう偽装請負問題は、当会でもしきりに取り上げているところではありますが、派遣法ができる前から存在する非常に根の深い問題であるそうです。ある意味、いたちごっこ的なむずかしさがある、という見方が法改正を読むうえで役立つでしょう。

段階的に拡大している

このテーマは施行時期が複数に分かれます。2023年4月、2025年4月、2026年4月、2027年1月、2027年4月など、措置ごとに時期が違います。事業場では「もう始まっていること」と「今後準備すること」を分けて管理してください。

時期主な意味事業場で見ること
2023年4月安衛法第22条関係の健康障害防止措置を、請負人や同じ場所で作業する労働者以外の者にも広げる省令改正有害物、粉じん、騒音、放射線、酸欠、高温低温などの健康障害リスクを、外部作業者にも周知・保護できているか
2025年4月退避、立入禁止など、作業場所に起因する危険への保護措置を広げる省令改正危険箇所、立入禁止区域、退避合図、緊急時連絡、保護具ルールを労働者以外にも伝えているか
2025年5月14日公布労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部改正個人事業者等を含む作業従事者を前提に、注文者、事業者、本人自身の役割を見直す
2026年以降改正項目が段階的に施行自社に関係する施行日を、業種、作業、機械、化学物質、混在作業ごとに確認する

厚生労働省によると、2023年4月施行の改正では、危険有害作業を請け負わせる一人親方等や同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護措置。(出典:厚生労働省「個人事業者等の安全衛生対策について」)”を図る方向が示されています。

同じ厚生労働省ページによると、2025年4月施行の改正では、作業場所に起因する危険性に対処する措置として、退避や危険箇所への立入禁止等。(出典:厚生労働省「個人事業者等の安全衛生対策について」)”が対象になります。現場の表示、入構教育、朝礼、KY、緊急時連絡が、労働者だけを相手にしたままになっていないか確認します。

厚生労働省の概要資料によると、改正法の施行期日は、令和8年4月1日。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要」)”を中心に、令和8年10月1日、令和9年1月1日、令和9年4月1日などへ分かれます。2026年5月29日時点では、すでに施行済みの部分と今後の施行準備が混在しています。

「個人事業者」と「個人事業者等」を分ける

実務で混乱しやすいのは、個人事業者、フリーランス、一人親方、法人役員、中小企業の事業主、家族従事者を同じ言葉で扱ってしまうことです。安衛法上の「個人事業者」は、法人か個人かではなく、労働者を使用しているかどうかで見ます。

労働安全衛生法第31条の3によると、個人事業者とは、建設業に属する事業の仕事を行う二以上の事業者又は個人事業者(事業を行う者で、労働者を使用しないものをいう。以下同じ。)に係る作業従事者(労働者及び労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する労働者以外の作業従事者に限る。)が一の場所において機械で厚生労働省令で定めるものに係る作業(以下この条において「特定作業」という。)を行う場合において、特定作業に係る仕事を自ら行う発注者又は当該仕事の全部を請け負つた者で、当該場所において当該仕事の一部を請け負わせているものは、厚生労働省令で定めるところにより、当該場所において特定作業に従事する全ての労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第31条の3)”であるとしています。屋号のある個人、一人会社の代表者、法人格の有無だけで判断しない点が重要です。

厚生労働省の施行通達によると、安衛法上の個人事業者は、法人であるか否かは問わず、労働者を使用するか否かで判断。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令等(個人事業者等関係)の施行について」)”するものです。契約書の名称が業務委託か請負かだけでなく、実際にその作業者が現場で何をしているかを確認します。

同通達によると、「作業従事者」は、契約形式等にかかわらず、実際に当該現場において仕事の作業を行っているかどうか。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令等(個人事業者等関係)の施行について」)”を基準に判断します。現場監督、写真撮影、荷物搬入のように、危険有害作業そのものではない行為でも、現場で作業に従事していれば対象になり得ます。

労働安全衛生法上の「個人事業者等」の範囲について(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001249595.pdf

「作業従事者」という新しいキーワードが、2026年に新出しました。

(法第15条第1項)作業従事者とは、「事業を行う者が行う仕事の作業に従事する者。」→従事する者を従事する労働者(※労働基準法が適用される労働者)と表現していない。つまり、労働者のほか、個人事業者を含むということになる。滋賀労働局資料より https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/002519183.pdf

労働者、下請け、その他(請負関係にない個人事業者など)の区別をなくし、同じ作業場で危険作業をしている人には等しい労働者保護を認める方向性なのかもしれません。

事業場とは何か: 法人単位ではなく場所単位で考える理由

最大のキーワードは「労働者と同一の場所」

保護拡大を読むときの中心は、「労働者と同一の場所」です。これは、すべての在宅フリーランス、すべての外注先、すべての個人事業者へ、会社の安全衛生義務が無限定に広がるという意味ではありません。労働者と同じ危険・有害性の範囲に入るかを見ます。

厚生労働省の施行通達によると、改正法で個人事業者等が措置を講ずべき場面等は、労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する場合に限定。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令等(個人事業者等関係)の施行について」)”されています。この限定を外すと、制度の読み方を誤ります。

同通達によると、「労働者と同一の場所」は、危険又は健康障害を生ずるおそれを受ける状態にある場所の範囲。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令等(個人事業者等関係)の施行について」)”を指します。物理的に同じ空間だけでなく、爆発、火災、有機溶剤、粉じん、重機旋回、倒木、残留危険などが及ぶ範囲も見ます。

同通達は、例として、物流倉庫の荷捌き場で労働者と労働者以外の作業従事者が、同一のフォークリフト作業区域内。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令等(個人事業者等関係)の施行について」)”で荷役作業を行う場面を挙げています。製造ライン、倉庫、建設現場、イベント設営、清掃・保守、配送受け入れでは、この発想がそのまま使えます。

派遣・請負が混在する職場の安全衛生連携

注文者・元方事業者が見るべきこと

企業側は、まず「自社の労働者以外に、現場で作業する人がいるか」を棚卸しします。入構者名簿に名前があるだけでは足りません。誰が、どの契約関係で、どの場所に入り、どの危険源に触れ、誰の作業と干渉するかを見ます。

確認項目実務対応産業医が見られる点
混在作業労働者、請負人、個人事業者、役員、家族従事者が同じ危険範囲に入るか確認する高リスク作業と健康障害リスクの洗い出しを助言する
入構教育立入禁止、退避、保護具、緊急時連絡、化学物質、熱中症、酸欠などを対象者全員に伝える医学的リスク、ばく露、暑熱、粉じん、有機溶剤などの説明を補助する
作業間調整フォークリフト、クレーン、火気、溶剤、粉じん、重機旋回、上下作業の干渉を調整する災害後だけでなく、ヒヤリハット段階で委員会へ出すテーマにする
健康管理長時間就業や過密発注がある個人事業者に、相談窓口や医師面談機会を案内する面談を行う場合は本人への助言を中心にし、会社への情報提供は本人同意と必要範囲で扱う
契約・発注安全衛生上のルール、保護具、資格、教育、報告、事故時連絡を契約前に明確にする業務量、納期、深夜・長時間作業が健康リスクを生まないか助言する

労働安全衛生法第31条の4によると、注文者は、請負人に対し、その指示に従って作業従事者が作業を行うと法令違反になる指示を、注文者は、その請負人(仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次の全ての請負契約の当事者である請負人を含む。)に対し、当該仕事に関し、その指示に従つて当該請負人に係る作業従事者が作業を行つたならば、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反することとなる指示をしてはならない。(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第31条の4)”であるとしています。発注者側の「やり方は任せた」「納期だけ守れ」という姿勢が、危険な作業指示や無理な工程を生む場合があります。

一方で、安全衛生上の指示をためらう必要はありません。厚生労働省の通達によると、安衛法令に基づき危険箇所への立入禁止等を講じることは、直ちに、労働者性を肯定する方向に働く事情とはならず。(出典:厚生労働省「注文者・事業者等が安全衛生上の指示等を行う場合における留意事項」)”であるとしています。偽装請負を恐れて安全指示をしない、という運用は避けるべきです。

個人事業者本人にも役割がある

保護拡大は、個人事業者を一方的に守るだけの制度ではありません。個人事業者等自身にも、安全衛生教育の受講、構造規格や安全装置を備えない機械の不使用、定期自主検査、立入禁止・退避措置の遵守など、本人側の措置が位置づけられます。

厚生労働省の概要資料によると、個人事業者等自身が講じるべき措置には、安全衛生教育の受講等。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要」)”が含まれます。企業側は、発注時に「教育を受けているか」「資格があるか」「保護具を持っているか」を確認するだけでなく、現場ルールを共有する仕組みを作ります。

厚生労働省の施行通達によると、2026年4月1日以降は、労働者と同一場所で作業する労働者以外の作業従事者にも、同条違反に係る罰則が適用。(出典:厚生労働省「労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令等(個人事業者等関係)の施行について」)”される場面があります。現場ルールは、社内規程ではなく法令上の義務に関わる場合があると伝える必要があります。

本人側(個人事業者側)にも一定の責任・罰則があることは重要です

申告制度も作業従事者に広がる

改正後の実務で見落としやすいのが、申告制度です。労働者だけでなく、作業従事者が、事業場の安衛法違反について労働局、労基署、労働基準監督官に申告し、是正を求めることができる形になっています。加えて、不利益取扱いの禁止も重要です。

労働安全衛生法第97条によると、作業従事者は、事業場に法令違反の事実があるとき、作業従事者は、事業場にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第97条)”であるとしています。

同条によると、注文者など契約の相手方は、申告を理由として、当該事業を行う者に対し、注文者、機械等貸与者その他第一項の作業従事者に係る事業を行う者の契約の相手方は、同項の申告をしたことを理由として、当該事業を行う者に対し、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならない。(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第97条)”であるとしています。現場の危険を指摘した個人事業者を、次回から呼ばない、契約を切る、単価を下げる、といった対応は重大なリスクになります。

50人未満事業場の産業保健:産業医選任義務がない会社に残る義務と公的支援

健康管理はガイドラインも見る

個人事業者等の健康管理は、法定産業医制度とは別に考えます。会社の産業医が、すべての外部個人事業者の主治医や産業医になるわけではありません。ただし、注文条件、短納期、深夜作業、待機、過密な業務量が健康リスクを作る場合、注文者側にも配慮が求められます。

厚生労働省のFAQによると、個人事業者等に対する医師の面談は、ガイドラインに基づくもの。(出典:厚生労働省「個人事業者等の健康管理に関するガイドラインに基づく個人事業者等に対する医師の面談に関するFAQ」)”であるとしています。通常の長時間労働者面接指導と同じ法定制度として扱うのではなく、ガイドラインに基づく支援策として整理します。

同FAQによると、ガイドラインでは、注文者等に対して、注文条件等により就業時間が長時間になり疲労蓄積がある個人事業者等から求めがあったとき、医師による面談を受ける機会を提供。(出典:厚生労働省「個人事業者等の健康管理に関するガイドラインに基づく個人事業者等に対する医師の面談に関するFAQ」)”することを示しています。

同FAQによると、面談を行う医師は、産業医、産業医の要件を備えた医師等。(出典:厚生労働省「個人事業者等の健康管理に関するガイドラインに基づく個人事業者等に対する医師の面談に関するFAQ」)”が望ましいとしています。産業医が関わる場合は、面談結果の取扱い、本人同意、注文者へ伝える情報の範囲を明確にしてください。

ガイドラインとは、個人事業者等から産業医面談希望があると会社は対応するのが望ましいとの趣旨です。義務まではいかないっぽいちょっと曖昧な感じですが・・・一度目を通すといいかもしれません。
個人事業者等の健康管理に関するガイドラインに基づく個人事業者等に対する医師の面談に関するFAQ
https://www.mhlw.go.jp/content/001261770.pdf

産業医の選任義務:50人、500人、1000人、3001人の基準

産業医が事業場に助言するポイント

産業医は、個人事業者等の法的地位を最終判断する立場ではありません。産業医が見るべき中心は、労働者と同じ場所で作業する外部者がいることで、労働者本人、外部作業者、周囲の作業者に健康障害や災害が生じるリスクです。

  • 職場巡視で、外部作業者や個人事業者が入る場所を確認する
  • 化学物質、粉じん、騒音、暑熱、酸欠、高所、重機、フォークリフトなどのリスクを、労働者だけでなく混在作業全体で見る
  • 衛生委員会または安全衛生委員会で、請負・委託・入構者の安全衛生ルールを議題化する
  • 熱中症、化学物質、騒音、腰痛、メンタルヘルスなど、外部者にも周知すべき情報を整理する
  • 長時間作業や深夜作業を発注条件が生んでいないか、発注部門へ確認を促す
  • 医師面談を依頼された場合は、個人事業者本人への助言と、注文者へ伝える情報を分ける
  • 労災報告、ヒヤリハット、救急搬送、災害時連絡網に、個人事業者等が含まれているか確認する

労働基準監督署から見られる安全衛生書類の基本

企業が今すぐ作るべき台帳

制度改正に対応するには、契約書だけでは足りません。安全衛生の観点では、現場に入る作業従事者の台帳が必要です。雇用契約、請負契約、業務委託契約、派遣、出向、役員、家族従事者などを、契約類型だけでなく現場リスクで整理します。

台帳項目記録する内容使い道
作業従事者の区分自社労働者、請負人の労働者、個人事業者、法人役員、家族従事者、派遣労働者など誰にどの安全衛生措置を及ぼすかを判断する
作業場所建屋、階、区画、ライン、荷捌き場、屋外区域、重機作業範囲労働者と同一の場所かを判断する
危険・有害性化学物質、粉じん、有機溶剤、騒音、暑熱、酸欠、高所、機械、車両、火気保護具、立入禁止、退避、教育、資格の要否を決める
注文条件納期、作業時間帯、待機、急な変更、夜間休日、業務量長時間就業や過密作業を生んでいないか見る
教育・資格入構教育、安全衛生教育、特別教育、技能講習、免許、保護具使用本人自身の措置と注文者側の確認をつなぐ
緊急時対応連絡先、退避場所、救急搬送、災害報告、ヒヤリハット報告事故発生時に外部者が取り残されないようにする

よくある誤解

誤解1:外注先なので安全衛生は関係ない。
同じ作業場、同じ危険源、同じ重機、同じ化学物質、同じ退避区域に入るなら、契約上は外注先でも安全衛生上は無関係ではありません。発注部門と安全衛生担当が別々に動いている会社ほど注意が必要です。

誤解2:安全指示をすると労働者扱いになる。
安全衛生上の必要な指示は、労働者性や偽装請負の判断と分けて考えます。安全指示を口実に日常的な指揮命令まで行えば別問題ですが、危険箇所への立入禁止、退避、保護具、緊急時連絡を伝えない理由にはなりません。

誤解3:個人事業者本人の自己責任だけでよい。
本人自身の措置は重要です。しかし、現場の危険源、工程、入構ルール、化学物質、重機運行、退避方法は、注文者や現場管理者側が情報を持っていることが多くあります。情報を持つ側が伝えなければ、本人の自己管理にも限界があります。

誤解4:産業医が個人事業者全員を管理する。
産業医制度は、会社の労働者の健康管理を中心にした制度です。個人事業者等の医師面談は、別途ガイドラインに基づく支援として整理します。産業医が関わる場合も、本人への助言、注文者への情報提供、健康情報の保護を分けて扱います。

まとめ

個人事業者等を含む安全衛生保護の拡大は、働き方の多様化に合わせて、同じ現場で働く人を安全衛生管理から漏らさないための見直しです。ポイントは、労働者と同一の場所、混在作業、注文者等の措置、個人事業者等自身の措置、作業従事者の申告、健康管理ガイドラインを分けて読むことです。

事業場では、雇用か外注かという契約分類だけでなく、誰が同じ危険源の範囲に入るかを台帳化してください。産業医は、労働者性の法的判断者ではありませんが、職場巡視、衛生委員会、化学物質・暑熱・騒音・過重就業の助言を通じて、外部作業者を含む現場リスクの見える化に関われます。

参考資料